湯浅桃子（ソプラノ）

よく鍛錬されコントロールされた歌い方で、軽快かつ華やかな技巧的旋律を得意とするソプラノ。中田喜直の歌曲「アマリリス」を歌い、全日本学生音楽コンクール声楽部門で第一位を得た時に、音楽評論家の梅津時比古氏より【天から舞い降りてくるように声とフレーズが溶け合い、中田がこの曲に託した女の哀しみ、情感がストレートに聴く者の体に飛び込んできた。

この冒頭の大きく下降するフレーズは非常に難しく、ソプラノ歌手が嫌がる個所なのだが、そんなことを露とも感じさせない名唱だった。】との言葉を贈られた。 広い音域をカバーする柔らかで伸びやかな声は耳に心地が良く、いつまでも聴いていたいと思わせる。また愛らしい容姿と優れた演技力で、時に華やかに、時に叙情的に歌う姿は舞台上で圧倒的な存在感を示す。クラシック・オペラのみならず、ポップス作品や演劇的要素の多い舞台も得意とし、常に聴衆を魅了し続けている。

東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。同大学大学院オペラ科修了。二期会オペラ研修所マスタークラスを最優秀にて修了。文化庁在外派遣研修員としてボストンで研鑽を積み、オペラ・デル・ウェスト（ボストン）『愛の妙薬』アディーナに抜擢される。国内では、小澤征爾指揮『タンホイザー』牧童でデビューした後、二期会『チャールダーシュの女王』シュタージ、『天国と地獄』ユーリディス、『フィデリオ』マルツェリーネ、日生劇場『後宮からの逃走』ブロンデ等を好演する他、「ディズニー・オン・クラシック」ヴォーカリスト等でも活躍。日本学生音楽コンクール第一位、日本音楽コンクール第三位。ピーター・エルヴィンス・声楽コンクール第二位等受賞歴多数。二期会会員